CRPS(RSD・カウザルギー)|岡崎で後遺障害・後遺症でお困りの方は弁護士法人心まで

CRPS(RSD・カウザルギー)

CRPS(RSD・カウザルギー)とは

手足の打撲や捻挫など,軽微な怪我の後に激甚な痛み(「灼熱痛」と表現されたりします)や激しいムクミが生じ,次第に関節がこわばっていき,遂には実用性のない手足となってしまう奇妙かつ恐ろしい疾患があります。

こうした疾患を総称して,RSD(Reflex Sympathetic Dystrophy:反射性交感神経性ジストロフィー)と言います。

このRSDという疾患はその病態が未だ完全には解明されておらず,一度,発症すれば重篤な後遺症を残しかねないということで,早期に診断し,適切な治療を行うことが極めて重要です。

この「RSD」という疾患の名称は学会などにより,CRPS(Complex Regional Pain Syndrome:複合性局所疼痛症候群)という名称に変更し,末梢神経の損傷を伴わない怪我に続発して生じた症状を「CRPS-typeⅠ」,末梢神経の損傷に続発して生じた症状を「CRPS-typeⅡ」と分類することが提唱されたこともあり,現在ではCRPSという名称が広く使用されています。

CRPS(RSD・カウザルギー)の後遺障害認定

自賠責保険では,CRPSの後遺障害認定について,「①関節拘縮,②骨の委縮,③皮膚の変化(皮膚温の変化,皮膚の委縮)という慢性期の主要な3つの症状も健側と比較して,明らかなに認められる場合に限り,カウザルギーと同様の基準により,それぞれ第7級,第9級,第12級に認定することとなる。」との基準に従って認定が行われます。

ここでいう,「カウザルギーと同様の基準」というのは,以下の基準のことです。

『カウザルギーについては,疼痛の部位,性状,疼痛発作の頻度,疼痛の強度と持続時間及び日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見などにより,疼痛の労働能力に及ぼす影響を判断して次のごとく等級の認定を行うこととなる。

【自賠法施行令別表第二,第7級4号】

「軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛があるもの」

【自賠法施行令別表第二,第9級10号】

「通常の労務に服することはできるが,疼痛により時には労働に従事することができなくなるため,就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」

【自賠法施行令別表第二,第12級13号】

「通常の労務に服することはできるが,時には労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの」』

立証ポイント

CRPSの症状に対する自賠責保険での後遺障害認定は,「①関節拘縮,②骨の萎縮,③皮膚の変化(皮膚温の変化,皮膚の萎縮)という慢性期の主要な3つの症状も健側と比較して,明らかなに認められる場合」との要件を求めていますので,①関節拘縮,②骨の萎縮,③皮膚の変化(皮膚温の変化,皮膚の萎縮)の3つの医学的異常所見をいかに客観的に証明できるかどうかが重要になってきます。

CRPS(RSD・カウザルギー)の後遺症に対する賠償上の問題点

自賠責の後遺障害認定基準と医療分野の診断基準の違い

自賠責の後遺障害認定基準は「(1)関節拘縮,(2)骨の萎縮,(3)皮膚の変化(皮膚温の変化,皮膚の萎縮)という慢性期の主要な3つのいずれの症状も健側と比較して明らかに認められる場合」というものです。

一方,医療分野での診断基準としては,Kozinの診断基準,GibbonsのRSDスコア,世界疼痛学会の診断基準,日本版CRPS判定指標,など,様々な基準があります。

問題は医療分野の基準には「骨の萎縮」が入っていないため,交通事故の被害者が担当医師から医療分野の診断基準によって「CRPS(RSD)」と診断されたにも関わらず,自賠責保険ではCRPSの診断基準をクリアしないとして,後遺障害として認められない場合があるということです。

この場合,適正な損害賠償を求めるためには裁判でCRPSの後遺症による損害賠償を求める必要があります。

素因減額の問題

CRPS(RSD・カウザルギー)は医学的な知見として,①持続性疼痛性の損傷又は疾患,②患者の遺伝的素因,③異常な交感神経反射の3つが発症の条件,とされていることを踏まえ,自賠責保険でRSDの後遺障害が認定されても,加害者・保険会社からは,「CRPS(RSD・カウザルギー)」の発症には被害者の素因(生まれもっての体質など)の関与が考えられるため,賠償金を減額する」と主張されることがあります。

これを「素因減額」といいます。

しかし,CRPS(RSD・カウザルギー)の後遺症を肯定した最近の裁判例では,素因減額がされてない例が多くあります。

ですから,加害者・保険会社から素因減額を主張されたとしても,素因を減額せずCRPS(RSD・カウザルギー)を肯定した多数の裁判例を引用し,反論する必要があります。

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